投資先の企業が実際にどれくらいの利益成長率があるのかってことは、非常に難しい問題ですよね。
毎年安定した利益推移をする企業ならよいのですが、ほとんどの企業はそうじゃない。
いやあ、難しい。
だけどこの方法を使えばその企業の正しい利益成長率に近づくことができます。
それはどのように計算するのか。その計算方法をご紹介します。
企業の利益成長率を計算することは難しい問題
景気の影響を受けたり、一時的な要因の影響を受けたり、ある時期に会社の構造や利益率が変わったり。
そんな様々な要因があるので、その企業の実力がどれくらいなのかを推し量るのは難しい。
しかし、それでも投資をする上ではその企業の利益成長率がどれくらいであるかを計算することは避けては通れない。
なにしろ利益成長率がその企業の適正PERが何倍であるか、そして理論株価がいくらであるかに直結するからです。
こちらの記事で企業の利益成長率から適正PERと理論株価を計算する方法を紹介しています。
その中でエクセルを使って簡単に利益成長率を計算する方法を紹介していますが、その方法はある程度安定した成長をする企業でないと正しい値がでなかったりします。
そこで他の方法も試し、その企業の本当の実力はどれくらいか模索しなければならない。
ということで、企業の利益成長率はどれくらいであるのかを計算する他の方法をご紹介しますね。
ROAとEPSを使ったEPS成長率計算方法
これは住友林業のEPS推移とROA推移です。
EPS推移だけだと間違ってしまう
こちらでEPS推移だけを見てEPS成長率を計算すると、実力よりも高い値がでちゃうんです。
なぜなら2008頃からリーマンショックの影響もあって数年間非常に業績が悪かったので、そこから業績が回復する過程でEPS増加率が高かったからです。
ROA推移を見ると2021年、2022年と利益率もかなり回復してきたので、通常レベルぐらいまで業績は回復したのではないかと思える。
ここから利益率がさらに上昇し続けるとは考えにくく、同時にEPS増加率も鈍化するでしょう。
このようにEPS推移だけだと正しい値、その企業の実力を図ることは難しいのです。
EPSをROAで割る
それでは実際にどのように計算していくかというと、
各年度のEPSを同じ年のROAで割っちゃいます。
2022年はEPSが543.9で、ROAが7.6%ですが…
【543.9÷7.6】にしちゃいます。
そして、【=71.5】となります(※下記の図では71.4だが、これは各項目の小数点以下の計算もしていたため)。
これが各年度の推移。各年度を計算するとこのような推移になります。
ROAが一定である場合のEPS推移ということです。
エクセルを使ってEPS成長率を計算する
こちらもエクセルを使って近似曲線、数式をだすと、EPS成長率は7.0%に。
この数字は利益率が一定の場合の利益成長率で、こちらの数字の方がその企業の実力に近いものであると言えるでしょう。
これでやっと計算ができました。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
企業の利益増減には様々な要因があり、一つの方法で全ての企業の利益成長率を計算することは難しい。
そのために様々な計算方法を試して、その企業の実力を模索しなくてはならないんです。
これはその方法の一つ。
この計算方法を使えば企業の正しい実力・利益成長率に近づくことができると思います。
ぜひ活用してみてください。