1000年以上その価値を保ち続け、通貨以上に信用されてきた金。
その金への投資は果たして危険なのでしょうか。
絶対に安全な資産はない
結論から言ってしまうと、残念ながら絶対的に安全な資産はどこにもありません。
現金(通貨)は基本的に価値が減少していくもの。そして投資も絶対的なものなどありえません。
そういった意味で言うと絶対的な資産はどこにもなく、いかに勉強して資産を守っていくかということになります。
現金(各国通貨)
日本では長いデフレで現金神話がありましたがそれも崩壊し、インフレによって相対的に現金の価値は減少。
現金を持っていたらその価値はどんどん減少していってしまいます。
日本円でも最強通貨と言われる米国ドルでも、現金は基本的に価値がどんどん下落していきます。
経済が発展していくと必ずその過程でインフレ(物価の上昇)が起こるからです。
インフレによって物の価値が上昇して、その結果相対的に現金の価値が下がってしまうのです。
これはどの国の通貨でも同じ。
銀行預金の金利が常にインフレ率を上回っていれば安全だと言えますが、残念ながらそれはほとんどなく、現金は絶対的な安全資産ではありません。
株式投資や不動産投資
当然ながら株式投資や不動産投資でも絶対的に安全な資産とはなりえません。
投資先の資産の価格が上下するので、しっかりと資産価値を精査した上で投資をしなければなりません。
これらの投資が安全かどうかは投資家の技量にかかっていると言えます。
ビットコインなど投機的資産
ビットコインなどに代表される投機的資産。
これらは安全だ・必ず価格が上昇すると必死に煽る人たちもいますが、安全な資産のわけがありません。
価格が上がってほしいために煽っているのであって、そういった情報に騙されないようにしましょう。
これらの投機的資産は上がるかもしれないし、下がるかもしれない。
どこに投資するかの問題なので、これも株式投資などと同じで投資家の技量にかかっているものですね。
資産の価格は信頼によって形成される
資産の価格はどのように決定されるのでしょうか。
それは、「投資家の信頼」によって資産価格が形成されると言っていいと思います。
株式でも不動産でも金でも同じ。
どのような資産でも価格形成をするのは我々投資家(資産を持っている人全員)です。
投資資産
例えば株式投資では投資先企業の利益見通しによって株価が決まります。
将来の利益が多く稼げそうであれば現在の株価が上昇し、利益が減少していきそうであれば現在の株価も下落します。
こういった投資先がある資産では将来の投資先の利益がどうなるかによって資産価格が形成されるので、言い換えるといかにその資産を投資家が信頼しているかどうかです。
※投資や投機についてはこちらの記事で書いています。
投機資産
金やビットコインなどに代表される暗号資産は、投資先の資産が利益を生むことはありません。
これらの投機資産は完全に投資家の信頼によって価格が形成されています。
それらの資産価値があると思えば価格は上昇し、無いと思われれば価格は下落する。
通貨などと同じでいかに万人に受け入れられるか、信頼されるかどうかです。
金への投資は危険なのか
金の価格推移
それでは金への投資は危険なのでしょうか。
まずは金の価格推移ですが、長期的には確実に上がっています。
1970年代には1オンス200ドル前後であった金価格ですが、2022年には1800ドルまで上昇しています。
長期的に見ると価格は上昇していると言えるでしょう。
金への投資のリスク
短期的な価格下落
長期的には金価格は上昇しているといっても、短期的には価格下落することはよくあります。
上記のグラフでも1978年から1980年にまでに1オンス600ドルまで価格が上昇した後、20年以上価格が低迷しました。
2年間で価格が200ドルから600ドルへと3倍になるという異常な上昇の後でしたので、600ドルで買った人は20年以上に渡って含み損を抱えたことになります。
ここで難しいのは金価格には適正な価格の計算方法がないこと。
株式や不動産では投資対象があるために適正な価格をある程度計算することができますが、金価格はそれが難しいんです。
今現在の価格が高いのか安いのかが分かりにくいので、短期的には価格が下落するリスクは常にあります。
大量生産されるかもしれないリスク
金が大量生産されて価格が低迷する可能性はあります。
地底から大量の金が見つかったり、科学的に簡単に合成する方法が見つかった場合などですね。
あまり確率は高くはなさそうですがこのようなリスクはあります。
通貨以上に信用され続けてきた金
金は世界中で1000年以上人々に活用されてきました。
国が発行する通貨以上に信用され続け、それは現在も変わりありません。
今後も通貨以上に信用され、価値を持ち続けるのではないでしょうか。
価格変動がある以上、一定のリスクは常にあります。
しかし現金よりも信用される金は、確実に価値を減少させていく現金よりも価値を保っていくのではないでしょうか。