投資理論

投資で最も重要な判断基準とは…「市場を独占(支配)している」こと

優良企業であるかどうかを判断する最も重要な判断基準。それは…

「市場を独占している企業であるかどうか」ということ。

これは投資の神様、ウォーレン・バフェットも最重要視することです。市場を独占する企業を選び・投資をすることができれば、9割方投資は成功したようなもの。

それはどういった企業なのか。

それではご覧ください。

市場独占企業とは

市場独占企業とはどのような企業か

もしある山奥の村で、食料品を扱っている店が1店しかなかったとしましょう。その村にはその店の他に食料を入手する手段はないものとします。その場合はどうなるか?

村人はたとえその店の食料の値段が高くてもその店から食料を購入しなければならない。店側とすればライバルは存在せず値上げも自由にできるわけで、高収益のお店を安定的に運営する事が出来きます。

このようにある企業の製品やサービスを消費者が利用せざるを得ない場合、その製品やサービスは価格競争から解放されて企業は多大な利益を得ることができ、競争力のある企業となります。

いわば市場を独占することによって多くの利益を手に入れる事ができるのです。このように市場を独占している企業を市場独占企業と呼びます。

市場を独占していると圧倒的に優位な立場でいられる

市場独占企業は文字通り市場を独占しているので、消費者はそれ以外の企業の製品やサービスを選択する余地が無い、またはほとんどありません。

例えばクレジットカードを作る場合はどの企業(ブランド)を選ぶでしょうか。ほとんどの人はビザかマスターカードだと思います。これは好みの問題ではなく、その利便性によって消費者はビザかマスターカードを選ばざるを得ません。

クレジットカードはブランドによって使用できる場所の数に違いがあり、ビザとマスターカードは他のブランドよりも使用できる場所が圧倒的に多い。海外で使用することも考えると、この2つのどちらかを選ばざるを得ないのです。

ここでは2社なので厳密には独占ではないが、2~3社で市場を寡占している状態では価格競争は起こりにくいので市場を独占している状態とさほど変わりません。激しい競争をしなくてもよいその2~3社は莫大な利益を得ることができるからです。

このように市場を独占している状態であればビザとマスターカードは価格交渉において圧倒的に優位な立場にいることができる。クレジットカード会社はそのクレジットカードのシステムを利用する店舗から料金を徴収するのであるが、そのお店を訪れる人はビザとマスターカードを利用したいと思っているので、その店舗はビザとマスターカードを使えるように、つまり両社と契約せざるを得ません。

その結果ビザとマスターカードはそのシステム利用料の価格や利用する際の条件など、その交渉において圧倒的に優位な立場でいられるのです。

独占による参入障壁が価格競争から開放してくれる

価格は需要と供給のバランスで決まる

製品やサービスの価格は需要(買い手)と供給(売り手)のバランスで決まります。つまり需要が多くて供給が少ない製品やサービスの場合は価格が上がり、逆に需要が少なくて供給が多い製品やサービスの場合は価格が下がります。

例えば貴金属や宝石などは買いたいと思う人が多い(需要が多い)が、販売数が少なく希少価値が高い(供給が少ない)ので価格が高くなる。もし道端に石が落ちているように、ダイヤモンドがどこにでも大量に落ちていたらどうなるでしょうか。ダイヤモンドの需給バランスが崩れて価格は大幅に下がります。

このように価格というものは需要と供給のバランスで決まります。

需要が多く・供給が少ないと企業は大きな利益を得られる

そして企業が利益を確保できるかどうかは、その企業の製品やサービスが適正な価格で(できれば高値で)販売されることが必要。つまり需要が多いにも関わらず、相対的に供給が少ない状態であることによって製品やサービスの価格が上がる状態が理想です。

言い換えると、ある分野でその製品やサービスを買いたい人が多いにも関わらず、その分野に参入する企業が少ないとその企業は利益を確保しやすくなるでしょう。

しかし需要が多い分野では参入してくる企業も必然として多くなります。

例えばパソコンなどは企業活動においてなくてはならない必需品であり、家庭でも普及して1990年以降爆発的に需要が伸びていきました。しかしそれ以上にパソコンを供給する企業が多くなり、つまり供給過多になり、技術の革新とも相まって価格は下がり続けています。

このようにいくら需要が伸びていっても供給側である企業数が多くては販売価格が下がってしまうので多くの利益は望めません。

市場を独占するマイクロソフトは莫大な利益を稼ぎ出してきた

それでは同じパソコンでもそのOSではどうだったでしょうか。

OSとはパソコンでの基本的な機能を提供し、コンピュータシステム全体を管理するソフトウェアのこと。マイクロソフト社の提供するウィンドウズシリーズがほぼ市場を独占し、マイクロソフト社は莫大な利益を稼ぎ出してきました。

同じパソコンの分野でもパソコン本体を売る企業は価格競争に巻き込まれ、OSを売るマイクロソフトは多くの利益を稼いできた。それでは両者の違いはどこにあるのでしょうか?

それはOS事業に他の企業が参入をできなかったからです。

パソコンではパソコン同士の互換性が重要になってくるので、すでに市場に普及しているウィンドウズ以外のOSが普及する事は非常に難しかったのです。他社にはOS事業への参入障壁が高く、参入したくても参入できなかったと言えます。

市場を独占しているマイクロソフトには他社の参入から身を守る参入障壁があり、それによって価格競争から開放されていたのです

市場独占企業のメリット

メリット① 安定した売上と高い利益率を確保することができる

市場を独占している企業のメリットはいくつかありますが、まず挙げられるのは安定した売上と高い利益率を確保できること。

他社と差別化できない、市場独占力を持たない企業の場合はこの2つを両立することは難しいです。そのような企業では売上を確保するためには値引きをしたり、広告宣伝に力を入れたりするなどする必要があるでしょう。

市場独占力を持たない企業は価格競争に陥るために利益はどうしても少なくなるため、売上と高い利益率のどちらかを犠牲にしなければならない場合が多いのです。

しかし市場独占企業はこの2つを両立することができてしまう。

世界中で人気のコーヒーチェーンであるスターバックスが良い例です。スターバックスではコンビニなどで100円程度の値段で売られているレギュラーコーヒーが300円近くで売れる。ラテやフラペチーノ(コーヒーやミルク、シロップなどと氷をブレンドしたフローズン飲料)といった同店の特徴的なコーヒーは400円~600円と一見割高な値段設定ながら利用者は喜んで購入しています。

スターバックスの利用者はお洒落なイメージのあるスターバックスを利用したいのであり、他の喫茶店などはその代替とならないのです。他店では満足できないので、たとえ割高であってもスターバックスを喜んで利用している。

こうして利用者に人気のある、つまり市場独占力を持ち、他店と価格競争をする必要のないスターバックスは利益率の高い商品を売り続けることができるので、安定した売上と高い利益率を確保することができるのです。

メリット② リスクに強い

そして市場独占企業はリスクにも強いことも特徴の一つです。大多数の企業は経営上の失敗が会社の存続リスクに直結してしまうが、市場独占力を持つ企業は立ち直る確率が非常に高い。

かつてペプシ・コーラを製造するペプシコはレストラン事業などに多角化して失敗し、クレジットカード会社であるアメリカン・エキスプレスは子会社が15億ドルもの詐欺にあって多大な損害を被ることに。

しかし消費者はペプシ・コーラを飲み続け、アメリカン・エキスプレスのクレジットカードを使い続けました。消費者がこれらの企業または製品を支持していること、言い換えるとこれらの企業が市場を独占していることに変わりはないからです。

このように経営上の失敗や事故はどんな企業でも起こり得ます。長期的に考えるとどんなに優良な企業であっても不適格な者が経営に携わってしまい、不適切な経営がなされてしまうこともあるでしょう。

しかし市場独占企業は企業そのものが市場を独占する力があるので、経営上の失敗や事故があっても立ち直ることができる。 売上は安定し、利益成長率も高く、さらに経営のリスクも低い‥‥まさに市場独占企業は投資をするにあたって理想の企業と言えます。

市場独占企業を探しだすことができれば投資は成功したも同然とも言うこともできるでしょう。