投資先企業のPERは何倍くらいが適正化って難しいですよね。
ググってみると「上場企業の適正なPERは15倍前後」ってでてきますが、これは単なる平均なだけでしかない。
当然ながら業績の良い企業と業績の悪い企業とでは適正なPERは違ってくるので、これではあまり参考になりません。
それではどのように判断すればよいか。どのように適正なPERを計算すればよいのか。
ここで簡単に企業の適正PERを計算方法をお教えしちゃいます。
EPSを8~10年分用意する
適正PERを計算するにはまずその企業の財務データが必要です。
財務からその企業の利益成長率を計算し、その結果期待される株価を計算するからです。
その際に参照する年数は景気1周期分がベスト。
例えば景気が落ち込んで業績が悪化している時期から景気が過熱して業績が絶好調の時期のEPSを参照するとなると…
そのEPS成長率はその企業の実力よりも高くなってしまいますよね。
そうならないためにも用意するEPSは景気1周期分がベストです。
景気の周期はおおよそ8~10年であることが多いですが、状況に応じて企業の実力をはかれる年数のEPSを用意します。
EPS増加率を計算する
EPSが用意できたら、あとはその企業のEPS増加(成長)率平均をだしましょう。
その企業が1年で何%EPSを増加させられるのか。
ここでは最も簡単な方法として、エクセルでEPS増加率を計算する方法を紹介しますね。
画像はこんな感じ。
これはある企業のEPS推移。点線(近似曲線)がEPSをならした平均EPS推移で、右上の0.1699という数字がその企業のEPS増加率です。
それではその手順を紹介しますね。それは、
- 1.エクセルでEPSの推移表を作成する
- 2.EPS推移表のグラフを作成する
- 3.グラフを右クリックして近似曲線を追加する
- 4.近似曲線の書式設定で指数近似を選び、「グラフに数式を表示する」にチェックを入れる
これだけです。
これだけでその企業の平均EPS推移はどれくらいか、毎年のEPS増加率は何%なのかを計算してくれる。
エクセルは優秀ですね。
EPS推移表を作成して適正PERを計算する
①EPS推移表を作成する
EPSの増加率が計算できたら、次は9年分のEPS推移表を作成します。
こんな感じで。
年度 | EPS (ドル) |
1 | 1 |
2 | 1.17 |
3 | 1.37 |
4 | 1.6 |
5 | 1.87 |
6 | 2.19 |
7 | 2.56 |
8 | 3 |
9 | 3.51 |
初年度のEPSが1ドルだとして、毎年16.99%増加するように作成しました。
②2年目から9年目のEPSを合計する
2年目から9年目のEPSを合計します。
年度 | EPS (ドル) |
2 | 1.17 |
3 | 1.37 |
4 | 1.6 |
5 | 1.87 |
6 | 2.19 |
7 | 2.56 |
8 | 3 |
9 | 3.51 |
合計 | 17.28 |
③EPSの合計を2倍にする
8年間のEPSの合計値を2倍にすると適正PERが算出できます。
上記の例では34.56ですね。
しかし、これはリスクを考慮しない場合の適正PER。
最後にリスクを考慮した上での適正PRRを計算しましょう。
④リスクの分だけPERを差し引く
ここが一番難しいところ。
その企業の利益成長においてどれだけのリスクを見積るのかということですが…
絶対的な正解はありません。企業によってリスクは違うので。
それでも計算はしなければならないわけで、一般的な投資リスクとしては2割程度みておけばいいと思います。
この2割(20%)を先ほどの合計値から差し引く。
例では36.56から2割差し引くと(34.56×0.8でも可)27.648。
この企業の適正PERは27.6倍となります。
これで適正PERを計算することができました。
簡易適正PER一覧表
こちらが簡易適正PER一覧表です。
企業のEPS成長率が分かっていればある程度適正なPERは知ることができます。
いかがでしたでしょうか。
やってみていただければ分かるのですが、非常に簡単!
企業には事業リスクの違いなど他の要素もあるのでこれが絶対的に正しい値を示しているわけではありませんが、ベースラインとしての適正PERは計算することができます。
適正PERを計算して株価が割高か割安かを判断していけば投資成績アップすること間違いなしですので、ぜひやってみてくださいね。